2008年1月13日
犯人に告ぐ
雫井脩介著「犯人に告ぐ」を読んだ。第7回大藪春彦賞受賞作で、豊川悦司が主演の映画化されているミステリー小説。事件解決までの展開も面白いのだが、その主人公が背負う重荷とそれを支える家族の様子が伝わってくる。映画も見たが、こちらも面白い。
一見タフに見える主人公を追い込むキャリアの上司(植草)と主人公のよき理解者(津田)とのやりとりで心打たれたシーンがある。
「人を叩き過ぎちゃあ、いかんのです・・・・・」
振り返ると津田が手を後ろに組んで佇んでいた。
「叩けばだれでも痛いんですよ・・・・」
夜空を見ながらひとりごとのように言う。
「痛そうじゃないから痛くないんだろうと思ったら大間違いだ・・・・それは単にその人が我慢しているだけですからな」
それだけ言って、ゆっくりと歩き去っていく津田を、植草はまた虚ろに見送った。
- by editor
- at 23:49
編集長のおすすめの一冊!2010
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