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  毎日にもっと楽~を! BLOG Tokyo

2008年4月13日

なぜ旅行は楽しいのか

なぜ旅行するのか。最近その問いにぼんやりながら答えられそうな気がしてきている。

なぜ外国語を勉強するのか。それは仕事のためなのか。それとも自分の可能性への挑戦なのか。

異文化交流とは何か。なぜ異文化交流をするとそれだけで楽しいのか。

人は新しい文化に触れたとき、自分に新しい価値を見出せるのではないだろうか。これを考える上で、司馬遼太郎著の「菜の花の沖」の文章は非常に面白い。


ともかくも、ただ一隻のオランダ船が入津(にゅうしん)するというだけで、長崎の町方も浦方も在所もくるったようによろこんでいる。このような人間現象というのはどういうことなのか。

たとえば宗教でもこれほどひとびとがよろこぶかどうか。
...中略

オランダ船の入津の場合、ひとびとは個々のそれぞれの表情で目を輝かせていた。この昂揚を大小の利益を得る喜びと解するのは、人間を侮辱するものであろう。客人の到来を無邪気によろこぶ、社会的動物としての本性にもとづいているものではあるまいか。

その客人たるものが、異質の文化をもっていればよりいっそう希少価値をたかめることになる。人間は文化の衣装によって自分の集団と他の集団とを区別している。オランダ船の場合、日本の文化とまったくことなっているということで、つねに衝撃をもって迎えられるのである。ひとびとを沸きたたせているもっとも大きな要素は、人間と異質文化というこの関係の中にあるかと思われる。

さらに、その客人が、受け入れる側の日本社会(長崎のひとびと)に悪害をあたえたり、破壊したりするものではなく、むしろ利益をあたえるものであるということが、ひとびとの心をいっそう明色にする

菜の花の沖 2巻 p69-71


過去のブログから

これから海外へ行く人へ~

1.「異文化理解」と「他者理解」
 私は北海道に生まれ22年間をそこで過ごした。北海道出身だ。ただ、社会人としての経験は、ゼロ。車で北海道1周もしたことがない。北海道の歴史もよく分からない。自分は北海道の文化を理解しているだろうか?これから2年間外国に行くわけだが、その2年間をもってその外国の文化を理解することは可能だろうか?日本国内であっても果たして隣人を理解しきれているだろうか。結局、異文化理解と構えていても、異文化理解はおろか、他者理解すらできるのだろうか。

2.他者の痛みを理解できるか
 他人の痛みを理解できそうな気がする。しかし、それは結局自分の経験や、外見などの周辺的な情報を元に他人の痛みを理解している。つまり、自分の身体に置き換えた理解である。痛みを他人に置いたまま理解するこは、結局自分の感覚でしかなく正確に他人の痛みを理解しているわけではないようだ。

3.お作法としての文化
文化はある種の「作法」であると理解した場合どうであろうか。作法自体には「心」はなく、昔からの慣習が続いていて、実はどうでもいいことが多い。そのどうでもいい作法を変えようとすることは単なる独りよがりになりかねない。

4.「異文化の理解」と「他者への信頼」
信頼は理解しあうようなものでないものに対する期待である。経験的に、信頼関係がない場合に自分の利益を追求すると絶対にうまく行かないとう、まずは他者を信頼し、それ以後は相手の出方を伺うことで人を見る眼が養われる。
*要するに、まずは信じてみよう。それで駄目なら次は相手がどうするかそれ次第で自分の行動を決めようとする方法。

5.「好き」と「平気」
すべての文化に価値の差がないものとして(優劣をつけない)、果たしてそれを実践できるであろうか。「価値」の中で暮らしている私たちがすべての「もの」や「ひと」を好きになれるであろうか。もしそれができないとしたら、「価値」の衝突を回避する「平気」、平気な距離感が大事ではないだろうか。好きでも嫌いでもない距離感。

6.国際人
国際人とは、複数のお作法を使い分けれることである。いくら任国にいったって結局すべてを理解できるわけではなく、日本人である。そこは冷静に任国の作法を身につけ、その作法に従っているという意識が必要である。それが人間としての成熟ということではないだろうか。これから異文化に身を投じることになるが、地位やこれまでのバックグラウンドが全く異なる任国でそのギャップを楽しめる平気、余裕が必要である。

editorgoes.net/blog



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