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  毎日にもっと楽~を! BLOG Tokyo

2008年11月10日

こどもは変わる、大人も変わる -人間発達の無限の可能性

今放送大学大学院で「発達心理学特論」を学んでいる。この発達心理学というのは面白くて、いろんなことを考えさせてくれる。そして、講師の先生からのメッセージは「人間発達の可塑性」なんだが、今回のテーマは、人間発達に臨界点はあるのか。つまり遅すぎるということがあるのか。

現代社会はストレスが極めて高い。そのしわよせは無力な子供たちに向かう。子供の自律を阻む過保護の親は、幼児初期から子供の将来にレールを敷き、塾に通わせ、文字や数、英語を訓練する。その一方で、養育放棄や虐待に走る。過保護と虐待、現象的には反対だが、子供を支配し発達を阻む点ではどちらも同じである。このような歪んだ環境の中で、心身ともに深く傷つきながらも立ち直り発達を遂げていく子供たち。彼らの姿は、人間の発達がいかに可塑性に富んでいるかを劇的に示している。

出典:放送大学大学院文化科学研究科 「発達心理学特論」 内田伸子 p23


こどもの発達を阻むものにネグレクト(養育怠慢)や心理的虐待、力のしつけ、などがあり、その結果子供には、身体的影響として、幼くみえる、身長が止まる、言語や認知の発達を阻んでしまう。

ここで、このような発達を阻まれた子供たちの中でも深く傷ついたが、立ち直り回復した子供たちがいる。それはなぜか。そのプロセスが数ページにわたるため解説を省くが、それは愛着(attachment)であるというお話。


先日、NHKの「課外授業 ようこそ先輩「みんな生きていればいい」という番組を見た。福島智さんは目もみえない、耳も聞こえないという障害を持ちながら、強い意志をもって生きて東京大学教授にまでなった。生まれたときから見えなくて、聞こえないのではなくて、少しづつその機能を失ってしまったのだという。見えないし、聞こえない。どんな世界だろうか。その福島さんがある小学校を訪ねるという番組だが、小学生からの質問で、「障害を持って一番つらいことは何ですか」という質問に、「誰とも会話が出来ない、コミュニケーション出来ない、誰とも繋がっていないこと」だと言った。そして、「誰かと繋がるということが、生きるということ」と付け加えた。

まさに社会的存在としての「人」は、人との関わりの中ではじめて、「人間」になるのである。

人は、生涯発達しつづける存在である。発達の可塑性はきわめて大きい。人間はひとりひとりが掛け替えのない存在である。初期の母子関係のみが人間を発達させる決定因ではなく、あとからやり直しや修正がきくという希望を抱かせてくれるのである。親だけではなく、同胞、仲間、さらに、近隣の人々、保育士や教師、さまざまなメディアを通しての人々。そうした人々との出会いと社会的なやりとりを通して、人は人間化に向かって歩んでいく。

人間発達を規定する要因は遺伝か環境かの択一ではなく、遺伝も環境も輻輳(ふくそう)的に加重し合うという、従来の知見が追認された。さらに、遺伝要因には臨界期を持つ領域と、防衛機制によって維持される領域があり、遺伝規定性の顕現のタイミングが重要であること、環境要因のうち、特定の人との愛着の成立が人間化への鍵を握っていることが窺われる。まさに社会的存在としての「人」は、人との関わりの中ではじめて、「人間」になるのである。

出典:放送大学大学院文化科学研究科 「発達心理学特論」 内田伸子 p35



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