2008年11月 2日
伊坂幸太郎 「魔王」
伊坂幸太郎著「魔王」を読んだ。文庫本になるのを楽しみにしていた。相変わらずのユーモラスな文章だが、それは序章に過ぎず自然にストーリーの中へ引き込まれてゆく。小説の中で、「覚悟はできいるのか」とまるで読者に語りかけてくるのだ。
これを読むのなぜか、村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」を思い出した。
「馬鹿でかい規模の洪水が起きた時、俺はそれでも、水に流されないで、立ち尽くす一本の木になりたいんだよ」
というシーンがあるが、洪水のように情報が飛び交う現代、それに流されずに我々は立っていられるだろうかと考えさせられる。
時代が変わろうとするその瞬間さえも、ある人にとってはまるで無関係なように少しも変わらない。「考えろ考えろマクガイバー」と洪水に立ち向かう主人公の姿が印象的だ。
「とにかく時代は変わりつつある」
『時代は変わる』ボブ・ディラン「時代は少しもかわらないと思う。一種のあほらしい感じである。」
『苦悩の年鑑』太宰治出典:「魔王」 井坂幸太郎
- by editor
- at 23:14
編集長のおすすめの一冊!2010
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