2008年12月16日
博士が愛した数式
小川洋子著「博士が愛した数式」を読んだ。なんだか理系な印象を受けるタイトルだが、そんなことはなく、日常と数学を非常に親しみやすく、ドラマチックに描かれていて好印象だ。読売文学賞、本屋大賞を受賞作品。
一人で息子を育てる母親役の主人公の科白が印象的だ。
空腹を抱え、事務所の床を磨きながら、息子の心配ばかりしている私には、博士がいうところの、永遠に正しい真実の存在が必要だった。目に見えない世界が、目に見える世界を支えているという実感が必要だった。
我々は今目の前にあることで精一杯に生きている。その大半は目に見えるものだ。人間関係なんかも形は無いが、KYなど空気を読む、読まないのレベルでいえば、感じることができる部類だろう。だけど、自分の目の前に広がるものが全てだと、目にみえる形が有益で全てであるとは限らない。なぜならば、宇宙のなかで、我々が知りうるものはたったの5%であることが科学的にはっきりしているのだ。では、目に見えないものはいったいなんなのか。それは哲学者が仮説を立て哲学にするのかもしれないし、科学者は数学や、物理学を使って宇宙について解き明かそうとしているのだ。そこには、野球選手やサッカー選手などのアスリート達が必死にボールを追いかけていくようなロマンがあり、観る者を魅了し、感動させる。
宇宙のエネルギーの中で私たちが知っている物質(原子)は実は5%に満たないことが、過去10年ではっきりしました。残りの20%は得体の知れない「暗黒物質」、さらに摩訶不思議な宇宙の75%を占めるのが「暗黒エネルギー」。どちらも名前はついているものの、その正体はまったくわかっていません。
出典: IPMU
- by editor
- at 22:24
編集長のおすすめの一冊!2010
comments