2011年9月23日
大学へのCity(地方自治体)からの視線
フィラデルフィアにやってきました。ここではローカルの大学と協力してどうやってフィラデルフィア市を大学で勉強する町(University study destination)にするかを目的として作られたNPOを訪問した。
問題点はDisconnectであり、キーワードはConnectだ。接続先は、大学、生徒、ビジネス、そしてフィラデルフィアのコミュニティだ。構想はとてもえらい。大きな絵がなくてはこれは難しいだろう。このNPOの活動は主に市からの助成金($1M)と独自の収入源、そして寄付とのことだ。このNPOの設立経緯はあとで紹介する。
まず、市はなぜ、大学に関するこのプロジェクトにお金を出したのか。市はこのプロジェクトに何を期待したのか。市は将来この市をどうしたいのか。これを考えなければならない。フィラデルフィアの町を歩くとその答えがわかるかもしれない。これはストリートを歩く人、町の独特の香り、お店のサービス、そういう複合的な要素をもって感じるのが町の雰囲気であり魅力だと思う。とにかくフィラデルフィアはそれを変えたかったんだと思う。NPOの担当の方いわく、Well educatedな人がたくさん住めば、Business will stayという。このマーケティング的な分析は将来やってみたいなと思いました。とにかくそういう期待で市は担当者の企画にお金をだした。
このNPOのゴールは、大学卒業後のフィラデルフィアに残る率(就職)をあげることだ。今は23%くらい。立ち上げ前は一桁だったそうな。かなり成功している。具体的にそれを達成させるために何をしているか。
Engagement→Dinner,museum,internship,Guide for parents
これはフィラデルフィアのブランディングに大きく関わる。大学4年間のうちに学生をどれだけ街に惹きつけ、そして好きにさせるか。アメリカの学生は大学での勉強は忙しく、図書館に篭りきりになることが多いそうだ。学位をとったら「ハイさようなら」にならないように、またローカルの企業にどんな会社があるのか、そのインターンシッププログラムの企画をやっているようだった。アメリカに就職協定みたいなものがあるのかと聞いたら、特にないと言っていた。インターンシップはどちらかというとSpecific demands from business、その「connect」という意味合いのほうが強いのかもしれない。当然NPOとしてフィルタリングをしっかりしなければ大学のキャリアオフィスとの関係が難しくなるので、相当注意しているとのことだった。
留学生についてだが、VISAの関係で残る率はかなり難しいようだ。そして大学からの視線で言えば、どこに就職しようと関心が強くないようだ。市と大学のこの関心の大きな違いを埋める新しいサービスと言えるし、これが営利企業が行うならばおそらく長続きはしないだとうと思った。
【このNPOの設立経緯】
代表者は、経済、市民、文化の発展に関する研究を大学院で行い、コンサル会社に就職、ツーリズムマーケティング会社で、自分の研究の課を設立。そこでツーリズムマーケティングにおける投資ケースに関する論文を発表、それがUSトラベルアソシエーションで受賞し、その後NPOを設立。大きな絵を書いた後、自分でそれを実践している。
代表者は、インターンシップのブログラムなどデザインしているがリベラルアーツの出身で、このNPOでもリベラルアーツから採用しているようだ。代表者曰く、あたかも早い段階でのプロフェッショナルな準備つまりインターンが大きなトレンドのようだが、決してそれが主流でもないと言っていたのが印象的だった。
僕も、そういう人もいてもいいし、そうじゃない道を行く人がいてもいい。それを許容する社会が必要だと思うし、ラッシュライフが必ずしも幸せへの近道ではないということをシェアする必要があると思う。それってやっぱり身近にいる大人がかっこいいかどうかとか、要はそういうことなんじゃないかと。
最後に聞いた。
大学は卒業生のことを考え、経験をするために外に行けという。でもなぜ協力してくれるのでしょうか?
「大学のスタッフもフィラデルフィアで働いている。みんなフィラデルフィアがよくなって欲しいと思っているんじゃないかしら」
それを聞いてなんか嬉しかった。
- by editor
- at 18:06
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