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  毎日にもっと楽~を! BLOG Tokyo

2012年4月 8日

「イギリス人の国家観・自由観」を読んだ。

名古 忠行著の「イギリス人の国家観・自由観」を読んだ。16世紀からの思想家の国家観・自由観を系統立てて読むことができる。500年以上の自由への論争をわずか226ページの新書のページをめくっただけで理解するのは困難だが、日々のニュースや政治機構の仕組み、会話の中でイギリス人の背景を理解するために重要と思う。今なお貴族階級を残す英国において、また2012年にダイヤモンドジブリー(女王即位60周年記念)を迎えるこの国の君主制への理解も深まるだろう。田舎をドライブすれば柵で囲われた広大な田園と羊たちをバックに写真撮影もしたくなるほど美しい風景を目の当たりにするだろう。この国が守ってきた美徳と守られたきた貴族階級の所有財産なのかもしれない。

この国が社会問題に直面したときに革命による国家分断を回避する英知が国家観・自由観の論争のなかでみてとれる。それは国家とは何か、自由とは平等とは何かなのだ。そしてイギリスにおいて国家という言葉は、stateという領土と権力を意味するものではなく、Commonwealth(コモンウェルス)と表現される。市民が社会的自由を享受すための制度や仕組みとして時代に合わせて修正され、継承していく無形財産なのだ。

自由主義に見られる、たとえば個人の幸福の総和が社会全体の幸福という考えの中には、各個人に対する厳しい倫理観と理想がある。競争原理は個人を向上させるアプローチの一つではあるが、勝者と敗者が必ず生まれる。社会全体がよくなるというマクロ的アプローチからは良く見えるが、2極化が生む様々な社会問題にも注意が必要だろう。そこからは単に自由だけの問題ではなく、「平等」という問題への対応も必要だ。2極化を回避しつつ社会経験、社会的良心をもった安定的な中産階級を維持できるかが国家の役割に求められているのだと思う。



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