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2012年10月 3日

井坂幸太郎の「PK」を読んだ。

最近は全く本を読んでいなくてそれが一つの気鬱だったんですが、先月の終わりに妻の職場の先輩が買ってきてくれた本がそれを吹き飛ばしてくれました。自分の中では抱っこ紐で1歳の娘を寝かしつけながら、この小説の時間を作るという離れ業に挑戦したんですが、ほとんど効果はありませんでした。自分の暇つぶしにはなったか。

中篇の3部作ですが、作品の登場人物の名前が3作に少しづつ出てくるので、まさかここで繋がるのかぁという伏線を読者に膨らませます。分かりやすくて面白い。読み終わった後、勇気が沸く小説、と一言で表せるんじゃないかとも思いました。

臆病は伝染し、勇気は勇気のある者からしか学ぶことはできない、

というようなフレーズが今でも頭から離れません。

2012年5月 7日

Marleyを観た。


Photograph: Berlin film festival the guardian

今、ボブマーレーの自伝映画が上映されているので観た。最初の20分、skaのリズムが心地よく寝落ちしてしまった。ボブマーレーの家族、音楽のメンバーのインタビューから彼の生き方、世界観に迫る。ジャマイカに居たとき、キングストンのボブマーリー博物館に結局行かなかった。この映画を観るまでなんとも思わなかったけど、あそこでボブマーレーがサッカーをやっているシーンを見たとき、ちょっとうーん、いっときゃよかったと思った。あとジャマイカンアクセントの強い人は字幕が出ていたのが面白かった。ボブマーレーはほとんど出てたな(笑

Marley - review

2012年4月11日

3D タイタニックを観た。

タイタニックが沈んだのは1912年4月15日、今年がその100年目となる。それにあわせて様々なイベントが企画されているが、3Dタイタニックもその一つで、ディカプリオのやつが3Dになって復活したのです。

僕がタイタニックをはじめてみたのが、たまたまイギリスに遊びに来ていたときの1997年だった。英語がほとんどわからなかったのでどんな内容かまったくだったのだがなんとなく涙した記憶がある。見つけてきた板に二人乗ろうとしたがあきらめた時のシーンだ。

あれから15年後、しかもその100年という節目にロンドンにいるという偶然に気づく。そして週末はたまたま体調不良で家に居て、テレビを見ていたらたまたまタイタニックの特集番組をみることができたことが単なる偶然と思いたくなかったので、さっそく映画館に行ってタイタニックを見てきました。

15年前見たときと視点が違っている。いろんな細かい描写まで今回は見ることができました。映画はジャックとローズのストーリーですが、20カ国以上からアメリカに夢を抱いた乗客2000人以上のそれぞれのストーリーがあったんだ、としみじみと思いました。

2012年4月 8日

「イギリス人の国家観・自由観」を読んだ。

名古 忠行著の「イギリス人の国家観・自由観」を読んだ。16世紀からの思想家の国家観・自由観を系統立てて読むことができる。500年以上の自由への論争をわずか226ページの新書のページをめくっただけで理解するのは困難だが、日々のニュースや政治機構の仕組み、会話の中でイギリス人の背景を理解するために重要と思う。今なお貴族階級を残す英国において、また2012年にダイヤモンドジブリー(女王即位60周年記念)を迎えるこの国の君主制への理解も深まるだろう。田舎をドライブすれば柵で囲われた広大な田園と羊たちをバックに写真撮影もしたくなるほど美しい風景を目の当たりにするだろう。この国が守ってきた美徳と守られたきた貴族階級の所有財産なのかもしれない。

「イギリス人の国家観・自由観」を読んだ。の続きを読む

2012年4月 1日

林望の「イギリスはおいしい」とコリン・ジョイスの「『イギリス社会』入門」を読んだ。

イギリスに住んで1年が過ぎた。

日本から来た友人などと話すと必ず出る話題がある。「イギリスのめしはマズイ」というものだ。ここで前提のなるのがたぶん外食のことを指しているのだ。そしてその外食は旅行者を喜ばせられるかというがという点で評価されるようにも思う。たぶん、思ったより日本で食べる同等のものと比べて安かったりとか(安いと得した気がしておいしかったという印象を残すように思う)、サービスがよかったりとか、その上で美味しいというのがポイントだ。そういう意味で滞在初日の旅行者は「思ったより不味くないね」という感想を言ってくれる。僕は気にいってくれてよかったと思う(笑)。1年住むと外食で食べる割合のほうが圧倒的に少ないから、僕自身は、スーパーで買う野菜の値段が日本より安く、量も多いので満足している。(料理をするのは僕ではないが・・)

1年も居ると細かい疑問があり、そういう解説が欲しくなる。1年前に読んだらどいういう感想だっただろうか。そして1年後に読んだら印象は変わるだろうか。いずれにせよ、イギリス滞在中に方にぜひ読んで頂きたい2冊です。読んだらパブリックフットパスや田舎町に遊びに行きたくなりますよ。イースターはThe ボートレースでも見にいこうかな。


2012年3月25日

宗教がわかれば世界が見える、を読みました。

ロンドンにいるとさまざまなエスニックグループにある人たちが隣人として生活しています。スーパーに行っても病院にいっても、学校にいっても、職場でもです。子供がいるとプレーグループなどでそのような公共の場でそこに来るママさんや赤ちゃんたちと遊ぶのです。このような環境やいろいろな場面で、どのような行動をするのか、その行動の背景なんかも知らないと、「いい距離感」が作れないだろうと思うんです。それで池上彰の宗教がわかれば世界が見える、を読みました。外国の方と話しこんで行くとどこかで世界観的な話題になることが多いですが、そもそも日本人とはどういうエスニックグループなのかとか、自分の世界観はどんな感じなのかのヒントになるような気がしました。うーーん、深い!

Ethnic Group % of London's population
White 69.1
Mixed 3.5
South Asian 13.3
Black 10.6
Black Caribbean 4.3
East Asian or Other 3.5
Total population 7,556,900

From Wikipedia, the free encyclopedia

2012年3月24日

T・R・ピアソンの「甘美なる来世へ」を読みました。

知人からお腹を抱えるほど笑えるよ、と薦められた本です。訳者のあとがきにもあるんですが、最初の1ページがピアソンを受け入れられるかどうかがかかっています。僕は最後まで読みましたが、クスっていうくらいでした。たぶんピアソンの脱線の脱線についていけなかったんだと思います。最近はスピード感のあるストーリーが人気ですが、ピアソンの小説のようにあとからジンワリ来るストーリーもいいなぁと思いました。ごく普通の退屈な田舎生活にあるそれぞれがみせる個性とそれぞれが抱える人生。こういう世界観。スゴイ!

2011年10月 2日

世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド

村上春樹の世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランドを読んだ。前回読んだのは2007年3月 2日だ。時間が流れ、自分も読み手としての立場は変わった。心に残ったものと残らなかったものが違うところもあるし、同じところもある。

いったい誰が公正さなんてもとめているというのだ。誰も公正さなんて求めていない。そんなものをもとめているのは私くらいのものだ。しかし公正さ失った人生になんてどれだけの意味があるのだろう。(下巻 p334)

人は生きる意味を求め、悩みもがく。そんな悩みがない世界、きっと素敵だろう。いやどうだろうか。そんな葛藤が、そして明日への決意がカッコイイ。

いいソファに座ってみたいな。

2011年8月10日

井坂幸太郎の「マリアビートル」

井坂幸太郎の「マリアビートル」を読んだ。「グラスホッパー」の登場人物の名前が出てくるし、グラスホッパーシリーズの最新刊という位置づけになるだろう。といっても本書をいれて2巻しかないのでシリーズとするのは大袈裟かもしれない。

読んだ感想は、「怖い」小説だ。多面的に怖い小説なんだ。暴力的な内容で怖いんだが、次のページをめくらずにはいられないスリリングもある。そして、登場人物のある少年は人をコントロールすることに興味があり絶大的に頭がいいんだが、読者である自分も読み進めるに従ってその少年にコントロールされつつあることに気付く。

いやぁ怖い小説ですよ。続編がありそうな気がしますね。

おススメです。

2011年8月 8日

伊坂 幸太郎の「オー!ファーザー 」

伊坂 幸太郎の「オー!ファーザー 」を読んだ。父親になって1ヶ月の時期にこれを読んだのは偶然だろうか。最近来た友達に持ってきてとお願いしたので偶然ではない。でも、井坂幸太郎の本ならなんでもよかったのでそういう意味では偶然かも。題名ともこれまでの文脈とも無関係に生まれたばかりの娘はとにかくかわいい。

井坂幸太郎の軽快なリズムはそのままに、そうだよなぁと思うシーンが何度もある。そうなんだよ。現実は厳しい、だけどそんな現実を生きていかなければならない。どこを見回しても泥仕合。それが現実。そんな中で、恰好いいオヤジがいたら、そしてその背中を見て子供が育てば、未来はほんの少し明るいかもなぁと思った。

いやぁ面白かったです。

2010年12月 4日

2010年ベストセラー。今年はその中の3冊を読みました。

トーハンから2010年ベストセラーが発表されました。今年はあんまり本を読まなかったなぁ。だけどいい本を読んだと思います。特に11位の「これからの『正義』の話をしよう いまを生き延びるための哲学」はすばらしかったし、村上春樹の1Q84は傑作でしたね。あとはお決まりの「もしドラ」。景気や社会が混迷する今こそ、共感をもって読める本というものがあると思います。

1位=「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(岩崎夏海)
2位=「バンド1本でやせる!巻くだけダイエット」(山本千尋)
3位=「体脂肪計タニタの社員食堂 500kcalのまんぷく定食」(タニタ)
4位=「ポケットモンスターブラック・ホワイト 公式完全ぼうけんクリアガイド」(元宮秀介、ワンナップ編著)
5位=「1Q84(3)」(村上春樹)
6位=「ポケットモンスターブラック・ホワイト 公式イッシュ図鑑完成ガイド」(元宮秀介、ワンナップ編著)
7位=「伝える力『話す』『書く』『聞く』能力が仕事を変える!」(池上彰)
8位=「新・人間革命(21)/新・人間革命(22)」(池田大作)
9位=「創造の法 常識を破壊し、新時代を拓く」(大川隆法)
10位=「くじけないで」(柴田トヨ)

11位=「これからの『正義』の話をしよう いまを生き延びるための哲学」(マイケル・サンデル 鬼澤忍訳)
12位=「エッセンシャル版 マネジメント基本と原則」(P.F.ドラッカー 上田惇生編訳)
13位=「日本人の知らない日本語(2)」(蛇蔵、海野凪子)
14位=「知らないと恥をかく 世界の大問題」(池上彰)
15位=「モムチャンダイエット プレミアム DVD付」(チョン・ダヨン)
16位=「天地明察」(冲方丁)
17位=「ゲゲゲの女房 人生は・・・・・・終わりよければ、すべてよし!!」(武良布枝)
18位=「あたしンち(16)」(けらえいこ)
19位=「誰とでも 15分以上 会話がとぎれない!話し方 66のルール」(野口敏)
20位=「母 -オモニ-」(姜尚中)

2010年11月21日

「竜馬がゆく」を全8巻読み終わりました。

龍馬伝もあと2週で終了です。幕末の志士たちのドラマを見ていると、彼らの情熱とそしてその人生のうえに、僕たちの現在がある。歴史は継続している。過去から僕らが生きる現在、そして未来まで。誰かの膨大なエネルギーと犠牲のうえに今の繁栄があるんだなと。

司馬遼太郎はあとがきで、下記のように書いている。過去を大事にして、将来を思う。とても重要なことだと思います。

竜馬のもっているどの部分が、それをやったのか。また、一人の人間の持っている魅力が、歴史にどのように参加しくゆくものか。さらに、そういう竜馬の人間像が、どのようにしてできあがってゆき、まわりのひとはそれをどのようにみたか。..いつか、それを小説に書こうとおもいつつ歳月を過ごした。。

2010年9月26日

文化の秋ですね。映画「THE LAST MESSAGE 海猿」を見ました。

近所の映画館のシネマクラブという会員になりました。1年間1000円で常に900円で映画が見られるのです。ただ、当然なんですがその映画館でやっている映画だけ。邦画が中心になります。昔海外に行くと映画安っ!、日本高っ!っていう印象でしたが、900円ならそこそこいいなぁと思います。かなり敷居が低くなります。映画を見るというのがライフスタイルになるという感じでしょうか。週末で映画館に2回いきました。次にみたい映画は、宇宙戦艦ヤマトです。

さて、海猿もシネマクラブという会員だから見た、というのが主な動機ですが、昨日のテレビで前作が放映されていたのも影響されています。男の仕事、仕事への思い、同僚との絆、諦めない気持ち、家族への思いなどが描かれています。いい映画だと思います。

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2010年9月24日

松たか子「告白」を見ました。衝撃の連続で買ったポップコーンを食べることが出来ませんでした。

最近はうんざりなニュースなどが多いですが、仕事ではできるだけポジティブなメッセージをと、パンフレットやホームページなどに掲載しています。暗い話題は期待を生みませんからね。出来るだけ「ひと」の良い面に訴えかけたいと思っているんです。

しかし、この映画、人間の闇の部分にどんどんと迫っていきます。怖いですねぇ。恐ろしいですねぇ。買ったポップコーンに一口も手をつけられず、館内で買った200円のお茶(高い!)はたった一口飲んだまま。帰りに100円キャンペーン中のミスドでドーナツを買って帰りたかったのに呆然と家路につきました。本屋大賞を受賞した小説も読んでみたいですが、考えるとおそろしい。

脚本や、監督、役者の皆さんの演技がよかったのでしょう。ただただ、恐ろしかったです。

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2010年9月12日

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

すでに51万部を突破した通称「女子ドラ」を読みました。ドラッガーは経営学の試験で勉強した程度で太字になっている部分を暗記した程度でしたが、「組織」や「マネジメント」ついて本質的なことを言っていたんだなぁとこの本を読んで思いました。入門書としては抜群の読みやすさだったと思います。

印象的だった言葉を抜粋して紹介します。

あらゆる組織が、事なかれ主義の誘惑にさらされる。だが組織の健全さとは、高度の基準の要求である。(中略)成果とは何かを理解しなければならない。成果とは百発百中のことではない。百発百中は曲芸である。成果とは長期のものである。すなわち、まちがいや失敗をしない者を信用してはならないということである。それは、見せかけか、無難なこと、くだらないこといしか手をつけない者である。成果とは打率である。弱みが無いことを評価してはならない。そのようなことでは、意欲を失わせ、士気を失う。人は、優れているほど多くの間違いをおかす。優れているほど新しいことを試みる。

(p.175)

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2010年8月29日

これからの「正義」の話をしよう、今を生き延びるための哲学

マイケル・サンデル著「これからの「正義」の話をしよう-今を生き延びるための哲学-」を時間をかけて、じっくりと読みました。最後のページをめくった時、読み終えたという達成感と感動がありました。「個人の自由は、個人のものだ」という誰もが当然に思っていること、しかし、さまざまな局面から検証すると本当にそうだろうか、という疑問に辿り着く。そしてそれらの局面は、単純な判断はできなでない重くて、辛い選択をしなければならない修羅場であることが多い。そのような修羅場で、「それは個人の問題だ」と逃げ切れるだろうか。果たしてそれが、これまで生きてきた人生の疑問を解決してくれるだろうか。今の社会を取り巻く様々な問題に向き合うには、深い洞察と多様な人々と議論しそれぞれが自分で考えぬくことが必要です。その必要性と考え方を本著は導きます。

たくさんの方に読むことをオススメしたい良著です。

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2010年4月25日

1Q84 book3<10月-12月>

村上春樹の1Q84を読んだ。book1と2は2回読んだので予習は万全。いや読み落としたところはたくさんある。たぶんそれはbook4を読み終えたとき、さらにたくさんの見落としがあったことに気づくことになりそうだ。1Q84は、文章に無駄が無く、洗練されている上に、含みが持たされている。次の発売が待ち遠しい。

BOOK3からのひとこと。p49 タマル

俺は系統的な教育を受けていないから、実際に役に立ちそうなものだけを、ひとつひとつその度に身に付けていくしかないんだ。希望のあるところには必ず試練がある。あんたの言うとおりだよ。そいつは確かだ。ただし希望は数が少なく、おおかた抽象的だが、試練はいやというほどあって、おおかた具象的だ。それも俺が身銭をきって学んだことのひとつだ。

2010年4月19日

1Q84 book3を購入

1Q84 book3を購入しました。今読んでいるところです。まず1ページ目を開けると牛河というタイトルが。僕は2回、book1と2を読んでいるので、「あ、牛河か」と思いましたが、まわりを見ると読み返している人が多いですね。ゆっくり楽しみたいと思います。

2010年4月12日

竜馬がゆく①

NHKの大河ドラマ「龍馬伝」面白いですね。司馬遼太郎の「竜馬がゆく」を最後に読んだのは2007年2月で、もう3年も前の話です。だいぶ忘れてしまっていたので、ドラマが続いている間にもう一度読みなおそうと思いました。一巻の62ページで竜馬は旅について面白いことをいっているので紹介します。後に京都を戦慄させた岡田以蔵とのやりとりです。

(金とはむずかしいものだ)
正直なところ、うまれてこのかた金に不自由したことのない竜馬にとって、これは強烈な経験だった。あれだけの金で男が犬ころのように平つくばるとは、はじめ考えてもいなかった。
(旅は世の中を教えてくれる、と兄はいったが、これも修行の一つかな)

この後も竜馬は自分が納得できる考えを求めていろんな人に会いに行きます。薩摩と長州をまとめた竜馬の交渉力を支えたのは、旅で得た様々なひとの出会いだったのではないでしょうか。

2010年3月28日

ブレイクスルー・トライアル

伊園旬著、第5回「このミステリーがすごい」大賞 大賞受賞作の「ブレイクスルー・トライアル」を読んだ。先月初めに草津に行く途中のバスの中で読もうと、新宿のバスターミナル付近のコンビニで買ったのだ。コンビニにも文庫本が置かれるようになって便利だなぁと思う反面、どういう本を誰に読んでもらいたくて、置くべき本を選んでいるのかなぁというのも興味がある。機会があれば、コンビニの店長に聞いてみたいもんです。まぁ、売れる本だけ置くのが鉄則なんだとは思いますが。

そういう意味では、「このミステリーがすごい」大賞なんてあると、読んだこともないけど、たぶん面白いだろうという基準を示唆してくれます。読者の自分もこの賞があるからある程度の期待を持って買いました。

さて、「ブレイクスルー・トライアル」。スピード感がいいですね。ノリがいいので、待ち時間などにぴったりの小説です。いろいろな事情を抱えた登場人物が、複雑な関係の中で求めていたこととは、非常にシンプルなものだったりして、世の中を楽しく生きていくにはどうしたらいいか。軽いタッチのなかで、さらっと描いているあたりが受けたのかもしれませんね。

2010年1月11日

1Q84 BOOK2

1Q84 BOOK2を読み直した。実は2ヶ月くらいかかってしまった。じっくり読んでいたわけではないんだけど、そういう時期もありますよね。今年はもっといっぱい本を読みたいと思っています。さて1Q84のBOOK2からは次の段落が印象的でした。

Aという説が、彼なり彼女なりの存在を意味深く見せてくれるのなら、それは彼らにとって真実だし、Bという説が、彼なり彼女なりの存在を非力で矮小なものにみせるものであれば、それは偽者ということになる。とてもはっきりしている。もしBという説が真実だと主張するものがいたら、人々はおそらくその人物を憎しみ、黙殺し、ある場合には攻撃するだろう。論理が通っているだとか実証可能だとか、そんなことは彼らにとって何の意味も持たない。多くの人々は、自分たちが非力で矮小な存在であるというイメージを否定し、排除することによってかろうじて正気を保っている。

全ての人が、自分を中心に考えるならば、上の村上春樹の記述は正しいと思います。人間誰もが自分を否定的に捉えては前進できない。ただ、上述の人間心理は普段の仕事上の人間関係などにおいては珍しいことではないように思います。ベクトルの方向を1対1の向き合う関係から、違う方向へ向かわせなければみんなにとってのハッピーなエンディングにはならない。つまり「自分が」から「誰かのために」という心のパラダイムシフトができるようになれば、ワンランク上の穏やかな気持ちになれるのかなぁと思う今日この頃です。


2009年12月31日

2009年 年間ベストセラー

今年は世界の村上春樹ファンにとって至極の一年だったのではないだろうか。1Q84は単行本・文芸部門だけでなく、総合でもトップに輝いた。さらに続編の期待もあるだけに今後への期待で心躍る。単行本では直木賞作、「悼む人」、「利休にたずねよ」がランクイン。東野圭吾は2作も入り人気の高さがうかがえます。僕が今年読んだのはこの中で読んだのは1Q84だけとちょっとさびしい。

2009年 年間ベストセラー 単行本・文芸

1 1Q84 (1)/1Q84 (2)  村上春樹
2 告白 湊かなえ
3 悼む人 天童荒太
4 新参者 東野圭吾
5 利休にたずねよ 山本兼一
6 パラドックス13 東野圭吾
7 偽物語 (下) 西尾維新
8 新装版 天地人(上)/新装版 天地人(中)/新装版 天地人(下)
火坂雅志
9 終の住処 磯﨑憲一郎
10 化物語 (上) 西尾維新

■2009年 年間ベストセラー(トーハン調べ)
(集計期間2008年12月~2009年11月)



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2009年10月26日

1Q84 book1<4月-6月>

村上春樹の1Q84 book1<4月-6月>を再読した。ビックブラザーが出てくるジョージオーウェルの「1984年」を読んでから読み直してみたかったからだ。

「こうであったかもしれない」過去が、その暗い鏡に浮かび上がらせるのは、「そうではなかったかもしれない」現在の姿だ。

これはいったいどういう意味だろう。

ジョージ・オーウェルは『1984年』の中に、君もご存知のとおり、ビッグ・ブラザーという独裁者を登場させた。もちろんスターリニズムを寓話化したものだ。そしてビッグ・ブラザーという言葉は、以来ひとつの社会的なアイコンとして機能するようになった。それはオーウェルの功績だ。しかしこの現実の1984年にあっては、ビッグ・ブラザーはあまりにも有名になり、あまりにも見え透いた存在になってしまった。もしここにビッグ・ブラザーが現れたなら、我々はその人物を指してこう言うだろう。『気をつけろ。あいつはビッグ・ブラザーだ!』と。言い換えるなら、この現実の世界にはもうビッグ・ブラザーの出てくる幕はないんだよ。

出典:1Q84 book1<4月-6月> P422

とある。1Q84にはリトルピープルが出てくる。リトルピープルと2つの月が見える世界はいったい何を暗示しているのか。早くBOOK2を読み直したい。

【関連エントリー】
1Q84を読んだ
1984年

2009年10月25日

重力ピエロを観た


映画「重力ピエロ」を見た。原作は井坂幸太郎で2006年に読んだが、文学青年のニイクラさんが井坂幸太郎の作品で一番気に入っているのがこの「重力ピエロ」だ。小説はかなり面白いし、奥深い。僕はデビュー作の「オーデュボンの祈り」が個人的に気に入っている。

さて、この映画「重力ピエロ」、すでにDVD化されていてレンタルできますが、原作に忠実によく作られています。そしてストーリーが軽くならない味な演技で、思わず涙。見てよかったと思えるできばえです。

井坂幸太郎は、オーデュボンの祈りで登場する「さくら」というキャラクターを通じてもうかがえるのだが、法による裁判など当事者以外の第三者が、本当に罪あるものを裁けるのか、という問題提起をこれらの作品で投げかけている気がします。東野圭吾の「さまよう刃」でも同様の問題意識で書かれています。

2009年9月19日

1984年


ジョージオーウェル著の「1984年」を読んだ。村上春樹の「1Q84」を今年読んで、今年1番面白いと思った小説なので、この1984年を読んでみたいと思っていた。そして今日読み終わった。

感想は。。

もう一度1Q84を読んでみたいと思った。この1984年は1949年に書かれた小説でその時代背景を受けた小説である。2009年の現在この小説を読むとこんな世界が1984年、つまり当時から35年後の世界を描いたわけだから、今で言えば、2034年という小説のタイトルだろう。少なくてもこの小説が描かれているような世の中にならなくて良かった、そして今後もこういう世界にはしてはいけないと思うのだが、印象に残ったのは、

正気かどうかは統計上の問題ではない

というところで、ニュースや新聞、政治家、テレビのコメンテーターなどさまざまなオピニオンリーダーがいるが、それはそれで参考にするものの、個々人が社会に対して無関心ではなく、それぞれ自分で考え、それぞれの答えを持っておくことが重要だと感じました。


【関連エントリー】
1Q84を読んだ

2009年9月 3日

さまよう刃


東野圭吾著「さまよう刃」を読んだ。東野圭吾の作品はいつも読み出すと止まらなくなってしまう。本人が映画監督になりたかったのか、映像から文章を組み立てているのか、スーッと文字が頭に入って映像化できる。だから映画化される作品も多いのだろうか。マルチメディア社会の現代人にとって読みやすい小説ということだろう。

今回の作品はある深いテーマに問いかける形になっている。2009年(平成21年)5月21日に施行されたばかりの国民の義務を含めて、考えさせられる一冊である。

2009年8月27日

ユダヤ警官同盟を読んだ


Michael Chabon (原著), 黒原 敏行 (翻訳) の「ユダヤ警官同盟」を読んだ。アメリカの各賞を受賞した大作と本屋で紹介されていた。なかなか翻訳の小説というのは読み進めるのが難しい。原作の意図を正確に反映させるためにも意訳するには勇気がいる。その分、原作で忠実であることは日本語的にしっくりこない。その分を差し引いても面白かった。いろいろ歴史的背景とか勉強不足な自分でも面白いと感じた。また、主人公がちょっちメタボ体質になってしまったかつての敏腕刑事という設定で、いつスーパーサイヤ人になってくれるのかと期待する読者を裏切ってのらりくらりとストーリーは進むが、展開は超速いという小説なのだ。

悩める主人公の心境の変化に注目です。

2009年7月27日

終末のフール


井坂幸太郎著の終末のフールを読んだ。2009年7月26日現在で見た新聞広告ではすでに45万部も売れているというからすごい。僕の友人のニイクラさん曰く、井坂幸太郎の小説の中でベストだという。読んでみてなるほど、確かに面白いし、「生きる」ということに対して力強いメッセージも発せられている。そして個性的なユーモラスのある会話は健在で微笑みたくなる小説です。

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2009年7月12日

屋根裏の散歩者 江戸川乱歩ベストセレクション3

江戸川乱歩賞の小説はよく読んでいる。面白い小説ばかりで信頼できる賞だ。しかし、江戸川乱歩の小説を読んでいなかったので、夏休みの読書感想文的な感覚で読んでみました。

江戸川乱歩

江戸川乱歩は本名:平井 太郎(ひらい たろう)。筆名はアメリカの文豪エドガー・アラン・ポーをもじったペンネームなのだ....

エドガー・アラン・ポー
1841年に発表された小説『モルグ街の殺人』には探偵のC・オーギュスト・デュパンが登場し、史上初の推理小説と評価されることが多く、その後の推理小説の発展に寄与した。

(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

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2009年6月30日

1Q84を読んだ


村上春樹の「1Q84」を読みました。美しく、悲しく、象徴的で、対照的かつ多義的な世界がそこに描かれています。村上春樹はエルサレムでの授賞式で構築されてしまった社会システムの中で、個人が流されずに自分の考えをどのように保ちつづけることができるか、ということについて語っています。そして、この小説で、小説家として物語を通じてこのことについて語りかけているように、僕は感じました。そして何かしらのものを受け取った気がしています。
読売新聞のインタビューで、どれだけの数が売れるかということよりも、どのように伝わったかが重要と話したことがとても印象的でした。

オススメ!!です。

2009年6月23日

細胞から元気になる食事

山田 豊文著の「細胞から元気になる食事」を読んだ。皆さんは食生活をどのようにお過ごしでしょうか。僕は一人暮らしが長かった(大学を卒業してから10年くらい)ので、コンビニ弁当、スーパーのお惣菜、居酒屋の油もの、もちろんファーストフードに、カップラーメン、さらにはスナック菓子など、この本を読まなくてもなんとなく健康に悪そうな10年を過ごしてきました。

特に大きく体調を崩すことはありませんでしたが、ここ1,2年仕事のストレスが原因と思っていた、朝起きたときの胃のむかつきとか、疲労感みたいなものが、ひょっとすると食生活のせいなのかなと思い始めました。

この本によると胃腸は24時間営業中なので、油物などヘビーなものを食べると、胃腸は重労働を強いられ、それが続くとどんどん機能が低下し、本来なら正常に処理されるべきものが未処理になり、他の器官に影響を及ぼし、それが、体調不良などの原因になるのだという。

これはなるほどと思いました。ではどうしたらいいのでしょうか。

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2009年6月17日

村上春樹語る

1Q84はもう読みましたか?僕はまだ読んでいません。1,2の全2巻ですが、本なんてそんなに売れないだろうと思って、ぼんやりしていたら村上春樹さん新作「1Q84」品切れ続出...増刷も追いつかずという記事を見てウソだろと思っていたら、近くの本屋では売っていませんでした。そんなことって。。

しかし、こんなチャンス本屋が黙っているわけがなく、丸善なんかでは高速対応で、1Q84出店も出ていて、今週入手できました。そんなこんなもしていると、新聞では書評もでちゃうし、昨日の読売新聞では村上春樹自身が語るというかつてでは考えられないことが起こっています。

読み終わるまで、書評も村上春樹のコメントも見たくないので、切抜きにしてとっておこうと思います。楽しみだー。

読売新聞:新作「1Q84」オウム裁判が出発点...村上春樹さん語る

2009年6月16日

あの頃ぼくらはアホでした

東野圭吾著の「あの頃ぼくらはアホでした」を読んだ。あの時の人的な東野圭吾ですが、その自伝的な本で、なんだ、僕らと同じようにアホな学生時代をすごしたんだなぁと感心してしまいました。特に中学生時代の話は大爆笑で、あるあるっていいながらニヤニヤしてしまう。持て余した時間に読むのに最適なかるーいタッチの小説です。

2009年6月 7日

ブレイブ・ストーリー

宮部みゆきの「ブレイブ・ストーリー」を読んだ。最近DSのドラクエにハマっていたせいだけでははないと思うが、ファンタジーの小説というものがこんなにも面白いのかっと感心してしまった。漫画も面白いのだが、小説がそうさせるのか、それとも宮部みゆきが偉大なのか、心躍る冒険のストーリーに留まらず、現実社会の本質や、人間の弱さ、仲間のすばらしさなど、現実と幻想の世界を織り交ぜて主人公(読者)の心を冒険へと誘う。

ブレイブ・ストーリー、まさに勇気のお話だ。

僕が選ぶ2009年度ベスト小説のひとつだろう。まるで漫画を読んでいるように時間を忘れ次のページをめくってしまう。

オススメです。

2009年5月28日

Always on the side of the egg - 村上春樹氏エルサレム賞受賞スピーチ

IQ84が本日から発売となった。先行予約で48万部あったというのだからすごい。内容は本人の意向で明らかになっていない。今日テレビで村上春樹の評論家によると彼の小説のジャンルは「都市小説」という、都会が抱える社会問題の影を背負った青年が、お酒、恋愛、ファッションなどを織り交ぜて自分の存在価値をさぐるものだという。確かにそうだ。村上春樹の小説は一貫して「喪失と再生」のテーマで、個人がどうやってシステムという壁につぶされずに生き抜くのか。

2009年2月、村上春樹のエルサレム賞受賞スピーチは非常に勇気のある行動だ。行動する小説家。ガザ地区に爆撃している政府の責任者がいる前でこのスピーチを行ったのだ。非常に高いリスクを伴った行動でその勇気は賞賛に値する。その覚悟が、現れた名文章です。是非ご一読ください。

私は今日、小説家、つまり、うそを紡ぐプロとして、エルサレムにやってきました。
 

 もちろん、うそをつくのは小説家だけではありません。ご存じのように政治家もうそをつきます。外交官や軍人も時々独特のうそをつきますし、中古車のセールスマンや肉屋、建築業者も同様です。しかし、小説家のうそはほかと違います。小説家がうそをつくのを不道徳だと批判する人はいません。それどころか、そのうそがより大きく、完全で、巧妙であればあるほど、大衆や評論家に称賛されます。なぜ、そうなのでしょうか。
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出典:yomiuri online 読売新聞

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2009年5月18日

フライ,ダディ,フライ


「GO」で直木賞を受賞した金城一紀の『フライ,ダディ,フライ』を読んだ。2005年に岡田准一主演で映画化されている。あっという間に読めてしまう休日の午後や飛行機の待ち時間にぴったりの小説だ。平凡な人生を送ろうとしていたオジサンに降りかかる試練とそれを乗り越えていく様子が痛快に描かれている。

読み終わった後、体を鍛えたくなる小説です。

仕事を言い訳に暴飲暴食によりメタボが気になり始め時に読むのもいいかもしれないです。通常年齢を重ねる度に経験値が増え失敗も少なくなり、守るべきものも多くなるので自分の守備範囲のみで生活する、自分の限界にチャレンジしなくなるものです。長い人生の中で自分の守備範囲だけ守っていれば1点差のリードを守りきれるでしょうか。仮に逆転されるような事態が起こったとき、守備範囲のみでしか生活できなくなってしまった自分はただただ立ち尽くしてしまうことでしょう。そんな事態は小説やテレビや他人事であって欲しいと願うばかりです。

登場人物の「半径1m以内で生きていくだけのヤツなのか?」という声が記憶に残る。

オススメです!!

2009年5月13日

天使と悪魔

ダンブラウン著「天使と悪魔」を読んだ。映画はトムハンクス主演で2009年5月15日(金)公開予定だ。映画では前作にあたる「ダヴィンチコード」同様の内容だが、ダヴィンチコードが面白いと思う人ならば天使と悪魔も面白いと思う。

今回のテーマは「宗教と科学」だ。科学、特に自然科学は一般の人にはわけの分からない現象を解決してきた。真理の探究だ。例えば「宇宙って何?とか、宇宙のはじまりは?」などだ。突き詰めて考えると僕って何? 何のために生きているの?とかそういうことなんだろう。なぜ生命が始まったのかとか、個人では解決できないような悩みに説教してくれるのが宗教なんだが、そういう宗教が人々に教えてくれた領域に自然科学がどんどんと根拠ある回答をを示し始めた。そのような背景を舞台に宗教と科学の歴史的対峙を描いた小説なのです。

2009年4月25日

ホノカアボーイ


ゴールデンウィークに友達の住むハワイ島に行きたいなとずっと思っていた。友達はヒロという町に住む。飛行機は成田からだとコナへの直行便があって、そのキャンセル待ちをしていて、2ヶ月以上待って、昨日ようやくチケットが取れた。

出発まで1週間もないのだが、せっかく楽しみにしていたハワイ島。事前に情報を仕込もうとしていたら、以前「ホノカアボーイ」というハワイ島の物語が映画化されたことを知った。仕事帰りに思い立って見てから行こうと調べると一番近くて渋谷しかやっていないのだ。逆方向だけど行ってきました。ホノカアボーイ。

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2009年4月14日

納棺夫日記


第81回アカデミー賞外国語映画賞受賞した「おくりびと」の始まりとなったのが、青木新門著の「納棺夫日記」だ。

「やるなら、全く別の作品としてやってほしい」との青木の意向を受け、『おくりびと』というタイトルで、『納棺夫日記』とは全く別の作品として映画化。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

映画の内容と重なる部分もあるが、主には著者が納棺夫として、死に向き合った経験から世界観を展開している。幸福とは何か、それは生死を超えところから論じている。

心に残ったのは、正岡子規の「病床六尺」からの引用で

「悟りということはいかなる場合にも平気で死ぬることかと思っていたのは間違いで、、悟りということは如何なる場合にも平気で生きていることであった」

という言葉が実感としてわかるようになった。一瞬一瞬を大切に生きていこうと思った。

手を伸ばせば届く程度に前を行く人がもっとも頼りになる。その人が前にいるだけで、安心して進める。

右肩上がりの高度経済成長を遂げ、成熟社会を迎え、物質的に満たされた日本の現代社会に一つの指針を示す小説ではないかと思った。

【関連エントリー】
「おくりびと」を見て山形へ

2009年3月14日

人を動かす

D・カーネーギー著の「人を動かす」を読んだ。邦題は上から目線っぽい感じだが、英語のタイトルは

How to win friends and infuluence people

どうやって友達をつくって影響させるか

ま、という意味で、「人を動かす」でしっくりくる。

書いてあることは、至極当たり前のことばかり。だけど、ほとんどの人がそれを実行していない。実行すれば、「友達をつくる」確率は確実に上がるものばかりだ。

読んでいる間、この本に書いてある失敗例のほとんどに心当たりがあり、自分は人生で「友達をつくる」確率を下げてきたのだな、と思う。ただ、遅すぎるということはなく、今からでもできるだけ多く友達を増やせるように、そして隣人に幸せになってもらえるように頑張りたいと思った。

自分のまわりがそのようになれば、きっと自分も幸せだ。そう思わせてくれる書籍で、1年に1回は読み返すためにいつでも読めるところに置いておきたい本だ。

オススメです!!

2009年1月31日

梟の城 (ふくろうのしろ)


司馬遼太郎の「梟の城」を読んだ。忍者の世界を描いた歴史小説で、直木賞受賞作だ。これまで司馬遼太郎の作品をいくつか読んだが、たった1冊で、本質に迫りかつエンターテイメントな仕上がりだ。さすが、直木賞受賞しただけあって、本当に面白い。恋愛あり、戦闘あり、苦悩ありで展開も速い。


「生涯の情熱」とは何か、


一人の男の生き様を通じて読者はそれを感じ取ることができる。

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2009年1月11日

むかし僕が死んだ家

2008年一番躍進した作家、東野圭吾の「むかし僕が死んだ家」を読んだ。誰もが抱えていそうな秘密にフォーカスを当て(実際は誰もが抱えているわけではないが)、それを事件のナゾに迫るような臨場感で読者を引き込む手法はさすがだなと唸らざるを得ない。面白い小説だ。

テーマは「むかし僕が死んだ家」だ。誰もが昔の自分の全てを肯定できるわけではない。忘れて記憶の遠くに押し込み、そうやって大人になっていく。逆にそうしなければ、うまく社会には溶け込めないのだ。遠い昔を思うと今こうしていられるのは、いろいろな荷物を置いてきたからであり、これからも新しい荷物を抱え、古い荷物を置くという作業を繰り返すことになる。

だとしたら、ミスチルの「GIFT」に出てくるフレーズはかっこいいし、胸を打つ。自分的には、2008年のベストソングだ。

♪♪
知らぬ間に増えていった荷物も
まだなんとか背負っていけるから
君の分まで持つよ だからそばにいてよ
それだけで心は軽くなる
♪♪

2009年1月 3日

ダンスダンスダンス


村上春樹著の「ダンスダンスダンス」を読んだ。年始早々睡眠時間を削ってでも読み続けたい小説に出会えたのはラッキーだ。

「初読書に初ラッキー」と声に出してみようと思ったがやめた。

主人公の気持ちや抱えている背景が「羊をめぐる冒険」から引き続きなので、読んでからのほうが面白い。ちなみに、この「羊をめぐる冒険」もかなり面白い小説だ。

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2008年12月28日

井坂幸太郎 「砂漠」


井坂幸太郎著「砂漠」を読んだ。鳥瞰型の主人公が少しづつ周りの友達の影響を受けて熱を帯びていく。楽しい大学生活の入学から社会に出るまでに遊んだり、事件に巻き込まれたり、面白おかしく時間が過ぎる。

「僕が泣いているのは、自分のことでなんかじゃない!」

こう思える人はとても素敵で、それを気づかせてくれるのは「友達」なんだろうなと思わせくれる、心温まる小説です。

2008年12月16日

博士が愛した数式

小川洋子著「博士が愛した数式」を読んだ。なんだか理系な印象を受けるタイトルだが、そんなことはなく、日常と数学を非常に親しみやすく、ドラマチックに描かれていて好印象だ。読売文学賞、本屋大賞を受賞作品。

一人で息子を育てる母親役の主人公の科白が印象的だ。

空腹を抱え、事務所の床を磨きながら、息子の心配ばかりしている私には、博士がいうところの、永遠に正しい真実の存在が必要だった。目に見えない世界が、目に見える世界を支えているという実感が必要だった。

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2008年12月 3日

2008年 年間ベストセラー

2008年 年間ベストセラーが発表された。単行本では、直木賞受賞作で、福山雅治主演でドラマ化、映画化された「ガリレオ」シリーズ効果か、東野圭吾の躍進が目立つ。

通勤時間を読書タイムにあてているので、読みやすい文庫本になるまで読むことはないが(安いからという理由もある)、8 位のゴールデンスランバー 伊坂幸太郎は今から楽しみである。

2008年 年間ベストセラー 単行本・文芸

1 流星の絆 東野圭吾 講談社 1,785
2 聖女の救済 東野圭吾 文藝春秋 1,700
3 ガリレオの苦悩 東野圭吾 文藝春秋 1,600
4 犬と私の10の約束 川口 晴 文藝春秋 1,200
5 のぼうの城 和田 竜 小学館 1,575
6 L change the WorLd M 集英社 1,365
7 食堂かたつむり 小川 糸 ポプラ社 1,365
8 ゴールデンスランバー 伊坂幸太郎 新潮社 1,680
9 私の男 桜庭一樹 文藝春秋 1,550
10 おそろし 三島屋変調百物語事始 宮部みゆき 角川書店発行/角川グループパブリッシング発売 1,785

「トーハン調べ」

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2008年11月26日

容疑者Xの献身

東野 圭吾の「容疑者Xの献身」を読んだ。直木賞受賞作で、福山雅治主演で映画化された話題のベストセラー作品だ。ここ最近読んだ小説の中で、エンターテイメントという視点で最強の小説じゃないだろうか。最初から最後まで読者を惹き付け続ける。深い愛情と友情が絶妙に描かれている。「手紙」と同等以上の感動が待っている。

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2008年11月16日

七回死んだ男


西澤保彦著「七回死んだ男」を読んだ。もしあの日をリセットできたならと思うことがある。宮部みゆきの蒲生邸事件にも似た描写が出てくるのだが、人生をあるいは、その時間をもう一度やり直せるとしたらどんなことを想像するだろうか、過去に対して何をするだろうか。それを面白おかしくサスペンス仕立てで描かれている。


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2008年11月 2日

伊坂幸太郎 「魔王」


伊坂幸太郎著「魔王」を読んだ。文庫本になるのを楽しみにしていた。相変わらずのユーモラスな文章だが、それは序章に過ぎず自然にストーリーの中へ引き込まれてゆく。小説の中で、「覚悟はできいるのか」とまるで読者に語りかけてくるのだ。

これを読むのなぜか、村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」を思い出した。

「馬鹿でかい規模の洪水が起きた時、俺はそれでも、水に流されないで、立ち尽くす一本の木になりたいんだよ」

というシーンがあるが、洪水のように情報が飛び交う現代、それに流されずに我々は立っていられるだろうかと考えさせられる。

時代が変わろうとするその瞬間さえも、ある人にとってはまるで無関係なように少しも変わらない。「考えろ考えろマクガイバー」と洪水に立ち向かう主人公の姿が印象的だ。

「とにかく時代は変わりつつある」
『時代は変わる』ボブ・ディラン

「時代は少しもかわらないと思う。一種のあほらしい感じである。」
『苦悩の年鑑』太宰治

出典:「魔王」 井坂幸太郎

2008年10月25日

京論壇

日本の将来のリーダーとはどういう人たちだろうか。日本を超えてアジアのリーダーとはどんな人達だろうか。例えば、内閣総理大臣とかそういう人でもあるし、大企業の社長なのかも知れない。そのような人達がどのようにそうなっていくのか、昔から凄かったのか、それとも苦悩の連続を乗り越えてきた人なのだろうか。

この京論壇は、東京大学生と北京大学生というアジアのトップ頭脳の有志が学生レベルで、日本と中国について真剣に語り合った軌跡の本である。20代前半で政治経済歴史環境について討論できて凄いと感心する他に、若き将来のリーダーの熱い力が伝わってくる。非常に読みやすい。秋の夜長にはちょうどいい。

2008年9月18日

クライマーズ・ハイ


横山秀夫著「クライマーズ・ハイ」を読んだ。今年何冊読んだか思い出せないが、間違いなく一番面白い。映画も見た。ただ、映画を一度見ただけでは、この小説の本当の良さ、伝えたいこと、描きたかったことは分からないだろう。

様々な悩みを抱えながら走り続ける主人公が一生に一度訪れるかどうかの大事件と向き合い、そして、「なぜ登るのか」という問いの「降りるために登るのさ」という意味を探し続ける。

面白いっす!!

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2008年9月 2日

進化しすぎた脳

池谷裕二著の「進化しすぎた脳」を読んだ。脳科学の一般向け入門本で、中高生でもわかるように簡単に説明できるので、これ一冊読めば人間の脳とはどんな働きをしているのか、わかった気になれる。

人間の脳はよく、ほとんど能力を使いこなせていないというけれど、著者は将来予期せぬ環境の変化に適応できるように、今の環境より「進化しすぎている」のだと前向きに捉えている。


印象的だったのは、記憶があいまいなのは、記憶力が弱いせいだけではなく、脳が「あいまい」に記憶する機能を持っているからだという。

たくさん覚えないとならないものの共通点を見つけて、一般化・抽象化して記憶しようとするメカニズムなのだ。そして、抽象化したものを他の事象に応用して世の中を理解しようとするのだ。

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2008年8月17日

クライマーズ・ハイ

堤真一主演のクライマーズ・ハイを見た。1985年8月12日に起きた日本航空123便墜落事故を追う新聞記者とデスク、新聞社のお話だ。史上最悪の事故に立ち向かう地方新聞社がその存在意義、例えば新聞の販売、広告など運転資金獲得という現実的な問題と、新聞は地元の人がもっと欲しい情報を届けるべきだ、地方新聞として全国紙と差別化をどうはかるべきか、かつて栄光を手にした上司とこれから新しい時代に向き合わなければならない世代との衝突は、崖っぷちをザイルを使って一歩づつすすむような、スリリングで緊張感のある映画です。

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2008年8月16日

君について行こう


向井千秋(宇宙飛行士)の夫、向井万起男著のエッセイである。奥さんが宇宙飛行士を目指し、宇宙に行くまでが描かれている。どういう人が宇宙飛行士になって、どういう厳しい道のりを歩むのか面白おかしく描かれていて好感をもてる。庶民的な内容に仕上がっていて親しみやすいが実は著者はお医者さんというそのギャップも感心する。


向井千秋

日本人女性として最初の宇宙飛行士。慶應義塾大学医学部卒。医学博士

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2008年7月 8日

不毛地帯

山崎豊子著の「不毛地帯」を読んだ。元日本陸軍のエースが敗戦後、ソ連にシベリア送りにされ物理的な不毛の地で11年間酷使される。帰国後、子供たちは、あまりの哀れな姿に成り果てた主人公を「お父さんじゃない」と言われショックを受ける。

第2の人生は、軍とは関係ない道に進もうと商社に入社する。商社のスピードと文化に戸惑いを感じながら過ごし、自分は不適格ではないかと不安になる。主人公は後に才能を開花させるわけだが、商社前は、日本のエースだった男でさえ、シベリアでのブランクがあったにせよ、新しい組織や文化で働くには普通に戸惑うものなのだ。

商社での主人公のライバルとの激闘、部下や社長との人間関係の不安、日本の政治や経済の文化的な戸惑いなどがうまく描かれており、読者はどんどん小説の世界に引き込まれていく。


面白いっす。

2008年6月25日

バンテージ・ポイント

デニス・クエイド主演、ピート・トラヴィス監督のバンテージ・ポイントを見た。アメリカの人気ドラマ『24』(トゥウェンティ・フォ)のようなスピード感があってテンポも良い。あっという間に時間が過ぎて、振り返ってみても印象に残らないような、そんな映画で、暇な夏の夜に鑑賞するのならいいのでは。


普通です。

2008年6月 8日

最高の人生の見つけ方 -The Bucket List


ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマン主演。『最高の人生の見つけ方』を見た。様々な我慢や諦めを抱えて、生きてきた。余命6ヶ月を告げられた主人公たち。苦しみ、落ち込む。共通の悩みを抱え、正反対の生き方をした主人公たちが、「棺おけリスト」(死ぬ前にやりたいこと)をつくり、冒険に出る。そして、旅に出て気づく。本当に最期にやらなければならないことを。

まぁまぁ、おもしろいっす。

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2008年6月 5日

対岸の彼女


角田光代著、第132回直木賞受賞作「対岸の彼女」を読んだ。

地球温暖化、原油高、食料高、材料高、高齢者社会など様々な問題が山積していて、日本は、あるいは自分は、あと何年このような豊かな暮らしが出来るだろうかと不安になる。ハァ。

そんな大きな問題も不安だが、身近な問題で言えば、人間関係も問題だ。学校、部活、サークル、職場、人が集まるところに全て人間関係がついてくる。こじれると面倒くさい。人と会うのが億劫になる人もいるだろう。閉ざされた環境にいるならば、逃げ出したくても、逃げ出すことは出来ない。

主人公はある日逃げ出した。逃げて、逃げて、そして最後に辿り着いたのは。

どこへもいけなかった。

だけどあたしたち、
どこへいこうとしていたんだろう。

私たちはなんのために歳を重ねるのだろう。

おもしろいっす。

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2008年5月29日

菜の花の沖


司馬遼太郎著『菜の花の沖』(全6巻)を読んだ。司馬遼太郎の作品は、「竜馬がゆく」、「坂の上の雲」、「燃えよ剣」を読んだが、この「菜の花の沖」が一番面白かった。これまでの作品もどれも面白いが、今にして思えば、ようやく司馬遼太郎の意図がつかめる年齢になったということかもしれない。

本作品は、江戸時代後期の廻船業者、高田屋嘉兵衛(たかたや かへえ)の一生を描いた作品だが、商品経済の光と影が農耕中心だった江戸の社会にどのようにインパクトを与えたか、その物流によって人々の暮らしはどうなったかなどが描かれていて非常に興味深い。現在のグローバリゼーション社会にいる我々現代人にとっても全く古くない話にも思える。

また、異文化を超えて分かち合う価値観のようなものも語られていて、ジャマイカで2年ボランティアとして過ごした自分にとって非常に影響を受けた作品だ。自分的には、いろんな人に是非読んで頂きたい作品だと思う。

2008年5月 3日

うた魂♪

「うた魂♪」を見た。夏の香りがする映画だ。太陽と田舎の風景が妙によく、シーンの切り替わりが絶妙なので、笑いの「間」まで楽しめるコメディだ。合唱のシーンは迫力があるので、劇場でみるとより楽しみが増す。

本編とずれるが、主人公とそのいじめっ子役の小学生時代の回想シーンがあり、その子供の歌っているシーンが一番好きだ。映画終了後も「フニクリ フニクラ」が頭から離れない。ちなみにこの「フニクラ フニクリ」は「鬼のパンツ」に替え歌されている。

フニクラ フニクリってどんな歌?
聞いてみる

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2008年5月 2日

The Great Debaters

移動中の飛行機の中で、The Great Debatersを見た。先行上映で日本ではまだ公開されていない。

心の底に沈む僅かな希望に光をあて、引き上げてくれるような感動の作品だ。

Debateとは「討論する」という意味だ。アメリカではディベートといい、日本ではなじみがない。ディベートとは、2つのチームに分かれ、与えられたテーマの賛成意見のチーム、反対意見のチームに分かれる。相手の意見を良く聞き、矛盾点を探し、そこを突いて自分のチームの意見を論理的に審査員あるいは聴衆に納得させる競技なのである。

当然、優劣、勝ち負けが決まる。しかし、勝ち負けがすべてはない。本当は、どこまで真実に近づけるか。ただ、時代は、少年たちに勝つことだけを要求した。自分たちの存在意義を賭けて。

「敵は誰だ?」

敵はいません。それは、自分の意見の反対意見だからです。

クライマックスは、心を震わされる。

PVをみる

wikipediaでもっと詳しく

2008年3月17日

鏡の中の物理学


ノーベル物理学賞受賞者である朝永振一郎の「鏡の中の物理学」を読んだ。第一刷発行は1976年で古い本である。数学を専攻していた友達に、「量子力学」について教えてと言ったら、これを読めば、と言われた。

量子力学がなんであるかもわからないので、量子力学がなんであるか聞いたのだが、これを読んで、量子力学がなんであるのか、なんとなくわからないことが、わかった。

おそらく、どこかで専門に学んだ方でないと、「wikipedia」や「はてなダイアリー」を読んでも??だろう。

ただ、この本を読めば、?の数は減るでしょう。解説も併せて読むと科学に対する理解が少し深まるかも知れません。たったの131ページ。週末だけで読めてしまいます。

本書は、物理を専門としない一般向けに書かれおり、最後の章の裁判仕立ては面白い。オススメです。

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2008年3月14日

理由

宮部みゆきの「理由」を読んだ。現代日本人が抱える心の負が複雑に入り組んで、様々な形で水面下で巨大化していく。現代人のこころをリアルに描いているだけに、この小説の中の事件は、フィクションと単に割り切ってしまうには、想像力が足りていない。

電車のプラットホームで、帰り道の公園で、あるいは、職場のあのヒトは、なぜそこにいるのか、なぜ、あんなことしているのか、それは小説文庫本一冊分になるくらいの「理由」がある。

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2008年2月 9日

ねじまき鳥クロニクル

村上春樹著「ねじまき鳥クロニクル」を読んだ。へんてこなタイトルだが、最後まで読めばその意味はわかる。すごく面白い。そして、いつものように断片的にメタファーというのか、そのようなものが散りばめられている。

何かが起ころうとするとき、無関係な何かが回りくどい形で何かを知らせようとしている。そして、ことは順序よくは起こらないのだ。それを繋ぎ合わせをし、真実を知る勇気はあるか。

2008年1月29日

1973年のピンボール

村上春樹著「1973年のピンボール 」を読んだ。初期の頃の作品だ。春樹っぽいが、新人の緊張感のようなものを感じる。さらっと読んでしまい、内容が頭に入らなかった。ピンボールのブームはあっという間に終わってしまった。季節も変わる。そう、そのちょっと後な感じの小説です。なるほど、1973年のピンボール かなと。

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2008年1月26日

ノルウェイの森 -Norwegian Wood-

村上春樹著の「ノルウェイの森」を読んだ。大ベストセラー小説らしいのだが、どうしてそんなに売れたのかは、よくわからない。村上春樹のいろいろな小説を読んだが、ここに彼のテーマの原点のような共通性は垣間見られる。生と死についても描かれており、物質的な世界と精神的な世界の往来が、20世紀の高度成長時代の資源消費型経済社会の象徴と、環境汚染や温暖化などその代償を支払う21世紀の予測のようなアナロジー(類推)を感じたのは、自分だけだろうか。

上巻は、片山恭一の『世界の中心で、愛をさけぶ』に抜かれるまで、日本における小説単行本の発行部数歴代1位であった。『世界の中心で、愛をさけぶ』が映画化やドラマ化などの他のメディアによる相乗効果の結果としてベストセラーになったのに対して、この作品はそういう相乗効果とは全く無縁であったのにもかかわらずベストセラーとなった。


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2008年1月13日

犯人に告ぐ

雫井脩介著「犯人に告ぐ」を読んだ。第7回大藪春彦賞受賞作で、豊川悦司が主演の映画化されているミステリー小説。事件解決までの展開も面白いのだが、その主人公が背負う重荷とそれを支える家族の様子が伝わってくる。映画も見たが、こちらも面白い。

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2008年1月10日

ALWAYS続・三丁目の夕日

おとうちゃん、夕日が目に滲みるね。

映画を見て、ほのぼのできる。こんな映画って素敵だなという作品。映像のこだわりが随所に見られ、すごかったり、懐かしかったり。また、役者の演技も見所満載。お奨めです。

2007年12月28日

東京奇譚集

村上春樹著の短編集「東京奇譚集」を読んだ。奇譚とは、珍しい伝承・不思議な話という意味だそうだ。どれも感心しながら読んだのだが、終わってみると何が書いてあったのかなというそんな小説です。待ち合わせの時間つぶしなどにいいのでは?

2007年12月25日

沈まぬ太陽

山崎豊子著「沈まぬ太陽」を読んだ。正義感を持った一人の男を巨大な組織が保身と権益を巡って追い込んでいく。自分自身も家族をも犠牲にして正義を貫いた男の魂の物語だ。実話を元にして、小説として再編成されているだけに、内容が生々しい。全5巻だが、あっという間にストーリーに引き込まれていく。読むべし!!

2007年12月 2日

走ることについて語るときに僕の語ること

村上春樹が自分自身について、走る職業小説家として綴られている。多くのとても大事なことがここにしるされている。そして、明日から走りたくなるエッセイだ。

日々走ることは僕にとっての生命線のようなもので、忙しいからといって手を抜いたり、やめたりするわけにはいかない。もし忙しいからというだけで走るのをやめたら、間違いなく一生走れなくなってしまう。走り続けるための理由はほんの少ししかないけれど、走るのをやめるための理由なら大型トラックいっぱいぶんはあるからだ。僕らにできるのは、その「ほんの少しの理由」をひとつひとつ大事に磨き続けることだけだ。暇をみつけては、せっせとくまなく磨き続けること。

2007年11月24日

蒲生邸事件

宮部みゆき著「蒲生邸事件」を読んだ。蒲生邸事件というとイカツイ印象を受けるが実在した事件ではなく、しかも現代からタイムトリップしちゃうSF小説でなんだが、それがそれが。二.二六事件を題材としていて、日本史で黒字で登場するので、認識してはいたが、どんな内容で、それがその後の日本にどんな影響を与えたかなんてことは、小学生や、中学生、高校生だった自分の関心の外であった。

タイムトリップした主人公は、この事件を目撃して、「その瞬間、その瞬間、悔いのないように生きる」ことを知り、現代に帰る。運命っていうものがあるかも知れない、歴史は変わらないかも知れない、決められたレールを走るだけかも知れない。だけど、そのレールから逃げずに生きることを描いた熱い小説だ。

「過去を過去であるという理由で差別しない態度」

あとがきから


先日、ある講演を聴きに行って面白い文章を紹介していた。

「人の実行より自分の理論の方が優れているといつも批判する愚か者がいる。」

「世の中には一切の批判を免れる幸せ者がいる。それは何もしない者だ。」

2007年11月 1日

華麗なる一族


山崎豊子の「華麗なる一族」を読んだ。全三巻。面白い。キムタクと鉄平兄さんがダブり、悲壮感が漂う。一見華やかな一族だが、一族の繁栄を願う閨閥の拡大が結局誰も幸せにならないそんな話しだ。最後に鉄平の親友の三雲が孟子の言葉を万俵大介に放つ言葉はこの物語を象徴している。

「天下を得るには 一不義をなさず 一無辜を殺さず」

天下を得るには、ひとつの不義もなさず、一人の罪なき者も殺してはならないという意味である。

2007年10月 8日

HEROを観てきました

キムタクのHEROを映画館で観てきました。連休で子供がいっぱい居たので、よくわからないところで大爆笑している。そんなに面白か?と思って子供らのツボには疑問だったが、映画は結構面白かった。映画では地味な作業でも諦めない姿が描かれており、仕事をがんばろうっと勇気の出る映画かなというのが個人的感想です。

2007年9月 8日

今夜 誰のとなりで眠る

唯川恵の「今夜 誰のとなりで眠る」を読んだ。直木賞を受賞作でドラマされている「肩ごしの恋人」を読んだ時も思ったんだが、読者を引き込むのがうまい。どちらかというと社会派?な自分はこういう小説はちょっとと思うのだが、面白い。

「自分を批判してくる相手を無視して、自分を愛してくれる人だけを認めるのは傲慢だ」

先頭に立つ勇気、
本質を捉える知、
他者を感じる力。

この3つを兼ね備えらえるよう、日々努力したいものだ。

2007年9月 6日

グレイブディッガー

江戸川乱歩賞作家のグレイブディッガーを読んだ。面白い。まるで映画を見ているような描写力だ。表紙カバーはいかついが、中身は目くるめく展開で、あっという間に読めてしまうエンターテイメント・スリラーだ。

秋の夜長にいかがでしょうか。

2007年8月14日

グラスホッパー

井坂幸太郎のグラスホッパーを読んだ。巻末の解説によるとハードボイルドに分類されるそうだが、他の作品と比べてポップ感はなく、闇へ闇へと引きづられていくような人々を描いた小説だ。グラスホッパーとはバッタのことだが、作品内でバッタの中でも集団で暮らすバッタは凶暴になっていき、人間も集団で暮らすと競争が起こり争いが絶えなくなる、そういう環境で育つから凶暴だなんて節がある。ある深夜番組では、集団生活するコオロギと、単体で生活するコオロギをコオロギ相撲させたところ、一人で生活していたコオロギはより凶暴な性格になり、人間と一緒ですね、なんてどこかの学者が説明していたが、人間はどの道、凶暴なのだろうか。平和な生活を夢見ることは人間のエゴなんでしょうかね。

2007年8月 8日

ダ・ヴィンチ・コード

今更?って感じなんだが、かりてるので早く返さなきゃ、返さなきゃと思いつつ今日を迎えてしまった。ダ・ヴィンチ・コードを読んだのだが、上中下3巻にするのは完全に商業路線だなぁと、まぁ買ってないからいいんだけどね。この小説が話題になる前に読んだら結構驚くんじゃないだろうか。どういう驚きかは自分の想像を超えるものなのでわからないが、そんな気がする。読み物として、展開も早く非常に読みやすい。今更読む価値もあり?かな。

2007年7月21日

燃えよ剣

司馬遼太郎著「燃えよ剣」を読んだ。新撰組土方歳三の話だ。新撰組を強くすることのみを目的とした人生だ。その先に何かあるわけではない。ただそれだけだ。しかし、時勢の中どんどんと劣勢に立たされる。心が折れることなく最後まで自分を貫き通した男の話で興味深い。

2007年7月16日

海辺のカフカ

村上春樹著「海辺のカフカ」を読んだ。村上春樹らしい作品で、特に下巻は展開も早くかなり面白い。「メタファー」が連発して出て来るがそもそも「メタファー」ってなんなのかつかみ所がない。

想像力のないところに責任は生じないかもしれない

自分は2年間ジャマイカで過ごしたが、職場のジャマイカ人は想像力をかなり欠いた。ここでいう想像力はより実現可能な想像力のことで、他力本願的な想像力はジャマイカ人の得意としたところである。まぁ、現在の自分のまわりでも想像力がある人はそうはいない。先頭を走る勇気を手に入れたいものだ。

2007年6月25日

チルドレン

井坂幸太郎著の「チルドレン」を読んだ。あいかわらず、思わず噴出してしまうようなウィットに富んだ文章で、それでいてハートフル。著者はよく「現実離れしてしまったが、、」とあとがきに書いているが、現実に近づけたら面白くなくなってしまうことのほうが多いと思われる。今後もこんな楽しい小説が出版されるとよいなぁ。

2007年6月10日

国境の南、太陽の西

村上春樹著、「国境の南、太陽の西」を読んだ。自分に何かが決定的に欠落していていて、それが何だがわからない。それを埋めるという目的だけに、空に浮かぶ雲を目指してただ上り坂を登っていくだけという人生もあるかもしれないな。

毎日畑を耕すロシア人の農夫。ある日突然その男の何かが失われて、畑を捨てて、太陽を西へ、西へ進む。太陽の西には何もないのに。

国境の南には、「いずれ」があるかもしれない。太陽の西には「いずれ」はない。

2007年6月 7日

坂の上の雲

司馬遼太郎著「坂の上の雲」を読んだ。正しくは、まだ、あとがきを読んでいない。全8巻で読破に3ヶ月を要してしまった。いや、この小説はもっとゆっくり読んだほうがいいのかもしれない。

もし、日露戦争で敗れていたら、北海道はロシアのものになっており、そうすると今の自分はない、あるいは今の日本の姿はなかったかもしれない。ロシアの帝国主義的南下から日本を守るため立ち上がった男達のストーリーである。

付属的ではあるが、リーダーとは、上司とは、時の運とは、戦争とは、などそこには今も昔もかわらない興味深いトピックが描かれている。

2007年5月 5日

The Pursuit of Happyness -幸せのちから-

ウィルスミス主演の幸せのちからを見た。なかなか面白い。見ていて勇気がでる映画だ。あんまりコメントが思い浮かばないが、とにかく面白かったので、ブログに載せてみました。是非見てほしい映画です。

ちなみにHappynessはわざとスペルミスです。

オフィシャルサイト

2007年5月 2日

ネバーランド

恩田陸著のネバーランドを読んだ。高校生の寮生活で起る学園ものだ。自分は寮生活は人生で2度経験しているが、いづれも学園ものではない。いわゆる大人になってからなんだが、団体生活はうざったくもあるが、何か暖かくもある。寮生活を共にした仲間は今でも寮で経験した珍事件が酒の肴になる。このネバーランドは4人のいろいろな事情を抱えた高校生の話だが、正直言って面白い。250ページ前後なので、あっという間に読めてしまう。DVDにもなっているようだ。

2007年5月 1日

スプトーニクの恋人

友人のSJに借りた村上春樹著の「スプトーニクの恋人」を読んだ。昔から自分は理屈っぽい性格だが、村上春樹の小説を読んだ後は最大級に理屈っぽくなってしまう。理屈っぽい小説はわけが分からないのだが、正直自分は理屈っぽい小説が好きなようだ。いろんなことを考えたり、試したりした結果それが元通りに戻ってしまったとしても、そこには迷いがなく強くなれんじゃないかなと自分は考えている。今手元に小説がないから、そのままの文章を引用することが出来ないのがとても残念だ。(SJから借りた小説をジャマイカに無断寄与しちゃいました(笑))

たぶんこんな感じ
「人が考えた大きな理屈を理解するより、小さな理屈を自分で考えたほうがいい」

「自分が物事を考えるには、まずどこまでを理解しているのか、文章にしなくてはならない性格だ。
とても面倒くさく、時間がかかる作業だが、これをせずには先には進めない。」

千里眼 -ミッドタウンタワーの迷宮-

松岡圭祐著の千里眼シリーズを読んだ。あのミッドタウンが舞台になっており(まだ行ったことはないのだが)、また背景が最近のことで驚かされる。本の表紙のデザインはどうかと思うんだが、この作品はまるで漫画を読んでいるように読めてしまうエンターテイメント本だ。かなり面白くスリリング満点だ。さすがシリーズ400万部を売るヒットシリーズだなぁと感心している。

2007年4月27日

99%の誘拐

岡嶋 二人著の「99%の誘拐」を読んだ。5ヶ月前に買った本をようやく読んだわけだが、買った本をそのままにしておくとういうのは、なんとなく後ろめたい。これですっきりです。犯人の視点から描かれたストーリーで読者は主人公だけに犯人を応援してしまうわけだが、どんな理由があるにせよ、犯罪はいけません。展開がスピーディで読みやすいミステリー小説です。

2007年4月 9日

フィッシュストーリー

友人のSJが伊坂幸太郎著の「フィッシュストーリー」を貸してくれた。相変わらず小気味のよいユーモアは健在で笑える。本編とは関係ないが、この小説で「準備」という言葉が印象に残った。誰もがその準備に疑問を感じるかもしれないが、本人はその時が来るまで黙々と準備を続ける。その時が来るかもしれないし、来ないかもしれない。だけど、僕も準備をしていたいなと思う。そういう努力は惜しくない。

2007年4月 7日

坊ちゃん

夏目漱石というと何やら高尚な文学という印象があったのだが、どうやら誤解をしていたようだ。小学生の時に「我輩は猫である」を読んだのだが、小学生にその面白さは理解できなかったのだと思う。

さて、「坊ちゃん」なんだが、これはコメディだ。主人公坊ちゃんの一人ボケ、一人ツッコミを怒涛のごとく繰り返し、痛快なエンディングを迎える。なるほど、夏目漱石という人は後世に名を残した作家なんだなぁとしみじと思った。200ページ前後なので、読みやすく、少なくても2,3回は笑えます。

2007年3月 2日

世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド

村上春樹著の「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を読んだ。

平穏が欲しいか。平穏が欲しければ、心を失うしかない。期待がなければ、失望もない、絶望もない。悩みもない。静寂・平穏な毎日が送れるのだ。そのためには、心に高い壁を作ってこころがブレないようにしていかなければならい。もしあなたなら、心のない平穏な日々を選びますか、それとも期待と欲望と、そして絶望の断続的、ジェットコースターのような毎日を選ぶだろうか。

2007年2月15日

竜馬がゆく

実はこのサイトのドメイン名はeditorgoes.netなんだが、サイト立ち上げ当初、いろんな人の交流の場にしようとある人にコラムの掲載依頼をしたところ「編集長」と言われたのと、また、先輩からその時自分がしようとしていたことを坂本竜馬に例えて激励してくれたので、その激励に応えられるようにと命名した。その頃「竜馬がゆく」も読んだことがなかったし、坂本竜馬をあまり知らなかった。そして、その4年後の昨日読み終えた。田舎うまれの、地位も学問もなく、ただ一片の志のみを持っていた若者、坂本竜馬という一人の人間が持っている魅力がどのように歴史に参加していくのか。

読むべしっ!!

全8巻

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2007年2月11日

ナイロビの蜂 -The Constant Gardener-

久しぶりにいい映画をみた。悲しい音楽と主人公の悲壮な思いがじわじわと伝わってくる。アフリカの大地を舞台に大きな陰謀に立ちはだかった妻の軌跡を追う。ラブストーリーとは別の視点で、商業路線に乗せなければ持続可能な社会や援助の実現は困難である感じている。この作品では、草の根で頑張る側と、大きな組織とそれを利用した側を描いている。

ナイロビの蜂 -The Constant Gardener-

2007年2月 2日

5分後の世界

村上龍著「5分後の世界」を読んだ。著者自身が最高傑作と位置づける作品で、とにかく強烈だ。実は、先にこの続編であるヒュウガウィルスを読んだのが、どちらもすごい。展開が早く一気に読めてしまう。戦い続け、表現し続けるもう一つの日本がそのパラレルワールドの中に描かれている。自分も踏ん張ろうという力が沸いてくる。

2007年1月20日

陽気なギャングの日常と襲撃

伊坂幸太郎著の「陽気なギャングの日常と襲撃」を読んだ。映画化された「陽気なギャングが地球を回す」の続編だ。普通、小説を読むと何か哲学的で小難しい。人間関係や難しい背景を理解してはじめて、大きな感動や発見を得られるものだが、この小説は単純明快、かつユーモラスで読書をしていて、「ぷっ」っと噴出しそうになる。そんな小説だ。気分爽快にして、元気がでる。

誰かが言った。
「なにはともあれ結婚しなさい。良い妻を得た者は、幸福になれるし、悪妻を得たら、哲学者になれる。」それってソクラテスじゃねぇ?

2007年1月16日

壬生義士伝

浅田次郎著「壬生義士伝」を読んだ。才能に恵まれ、勉学、剣術に励み続けたその才能を認められても、その見返りもなく貧困に家族が苦しんでいく。出生、超えられない身分の差、その時代の理不尽、そのような環境の中でも自分の義を貫く主人公の生き様には号泣ものです。全2巻。

映画化されていて見てみたが、この内容を2時間以内で収めるのはちょっと無理があったかも知れない。南部弁の響きが耳に残る。

2006年12月30日

秘密

himitsu_higashinokeigo.jpg東野圭吾著の「秘密」を読んだ。広末涼子主演で映画化されている。娘を持つ父親の微妙な心境を描いた作品ともいえる気がする。娘を持つ父親はこんな感じなんだろうか。お父さんは大変だ。

2006年12月28日

蒼穹の昴

sokyunosubaru.jpg浅田次郎著の「蒼穹の昴」を読んだ。自分にとってとても大切な小説になった。感動したというだけではなく、自分の人生の指針になるようなそんな小説だ。全4巻

2006年12月 9日

手紙

tegami_higashinokeigo_.jpg東野圭吾著「手紙」を読んだ。人は必ず誰かと繋がっている。皺寄せが誰かに押し寄せて一生差別されて生きていかないといけない人生もある。犯罪は罪を犯した本人だけではなく、その家族にも影響が及ぶ。

「兄貴、どうして俺達、生まれてきたんだろうな」

加害者とその加害者の家族を描くストーリーです。

映画「手紙」の公式サイト

2006年11月26日

オーデュボンの祈り

audyubon_isakakotaro.jpg井坂幸太郎のデビュー作。ユーモア溢れるとまではいかないが、何気ないやり取りが面白い。

この小説には桜とカカシが超越的に存在している。人間が犯してしまう過ちが繰り返されないようにというオーデュボンの祈りは届くのだろうか。

桜は言った。
「動物を食って生きている。木の皮を削って生きている。何十、何百の犠牲の上に一人の人間が生きている。それでだ、そうまでして生きる価値のある人間が何人いるか、わかるか」

答えは「ゼロだ。」

2006年11月18日

地下鉄に乗って

metroAsadajiro.jpg浅田次郎著の「地下鉄(メトロ)に乗って」を読んだ。感想は泣けた。いい物語だったよ。最近読んだ「流星ワゴン」もそうなんだが、若いころの親父に会ったらどんな感じだろうって思う。母親との出会い、自分の出産。今の自分がもしその場に立ち会うことが出来たなら自分が生まれてきた意味や、これからどうすべきかなんてことが見えてくるのかもしれない。そんな小説だ。

近くの映画館でたまたまこの小説が映画化されたものが封切りになったので衝動的に行ってしまった。これまた泣けた。小説で流し読みしてしまったところが鮮明に情報として入ってくる。細かい空気のやり取りが伝わってくる。小説を読んでから見たほうが面白いんじゃないだろうか。別の視点でこの映画の良さは、音楽だ。小林武史プロデュースでSalyuの歌声が心地よくもあり、悲しく胸に響いてくる。

もっと詳しく浅田次郎「地下鉄に乗って」


もっと詳しく映画「地下鉄に乗って」

もっと詳しくSalyuのプラットフォーム

2006年11月12日

パレード②

parade_yoshidashuichi.jpgパレード 吉田修一著を2回読んだ。やっぱりわからない。気になる占い師の言葉。マンションの部屋から眺める交差点を行きかう車。「パレード」というこの本のタイトルはどういう意味があるのか。

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2006年11月 5日

重力ピエロ

juryokuPierot.jpg井坂幸太郎著「重力ピエロ」を読んだ。
生きることは辛いことなんだ。だから家族で助け合って生き抜こうっていうストーリーに感じた。小説の中では助け合うっていうのを「気休め」という言葉を使っていた。

母は、「気休め」が好きだった。「その場限りの安心感が人を救うこともある」「人を救うのは、言葉じゃなくておいしい食べ物なんだよね」

「気休めっていうのは大切なんだよ。気休めを馬鹿にするやつにに限って、眉間にしわがよっている」

気休めを言いながら人生を生き抜きたいものだ。

2006年10月23日

パレード

吉田修一の「パレード」を読みました。最後の1章にたどり着くまでに通勤電車の中の10分間で1ヶ月くらい掛かってしまいました。たらたらと読んでいたわけなんですが、その途中に違う本とかも読み始めてしまい、自分の中で忘れ去られた存在になってしまったんだけど、先日待ち合わせの時間に余裕があったので、最後の1章を流し読みしていたら、え?えぇーっっていう感じになり今最初から読み直しています。これまで同じ小説を2度読み直すことはなかったんだけど、この小説は特別です。夜長な秋にピッタリ?な本です。

もっと詳しく吉田修一・パレード

2006年10月19日

アクロイド殺人事件

アガサクリスティの1926年に発表された推理小説の伝説的クラシック。展開のスピードは80年前の作品とは思えない、やはり良いものは良いということでしょうか。

もっと詳しくアクロイド殺人事件

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2006年5月 3日

東京タワー

みんなが泣ける泣けるというので読んでみました。そこには、自由、幸せとはなにか、家族、オカンとはどういう存在だったのか綴られていました。帰ったら親孝行しようっと。

大空を飛びたいと願って、たとえそれが叶ったとしても、それは幸せなのか、楽しいことなのかわからない。
自由を求めて彷徨うダメ息子に送る一冊!!っておれのことか?


人は誰かに支えられていて、その一番のサポータはやっぱり母なんです。そういうお話。そうですよ。やっぱり誰にとっても母はそういう存在です。なのに成長していつのまにか自分ひとりで生きてる様な錯覚に陥って感謝することを忘れてしまう。今の自分で居られることに感謝しないとね。

この本は家族について以外に自由とは、幸せとは何かについても語られています。たとえば、

能力は成功はもたらせてくれても、幸福を招いてくれるとは限らない。

かつて自分がなにを目指していたのか、なにに涙していたのか。大切だったはずのそれぞれはその自由の中で、薄笑いと一緒に溶かされていった。ドブの中の自由には道徳も、法律も、もはや抑止する力はなく、むしろ、それを犯すことくらいしか、残された自由がない。
(中略)
大空を飛びたいと願って、たとえそれが叶ったとしても、それは幸せなのか、楽しいことなのかわからない。
結局、鳥篭の中で、空を飛びたいと憧れ、今いる場所の自由を、限られた自由を最大限に生かしている時こそが、自由である一番の時間であり、意味である。

ミスチルの歌にこういうのがある。

夢追い人は、旅路の果てで、一体何を手にするんだろ
嘘や矛盾を 両手に抱え 「それも人だよ」と悟れるの?

旅路の果てに例え幸せがなかったとしても、何も手にできないとしても、自分探しの旅に出かけてしまう気持ちも最近はわかるような気がするんだよな。

久々にちょっとだけ考えさせられた一冊でした。